椎名の日記帳

この物語はフィクションです。

自己表現

小さい頃は僕は全く話さなかったらしい。

首を縦に振るか横に振るかで意思を伝える。

家族が何でも汲み取って何でもしてくれて育った。

そのおかげで23年も生きてきた訳だが、

こんな育ち方をしたせいで欠陥がある。

 

自分の想いを伝えられない。

自分を表現できない。

学校でビデオを見たり知らない人の有難い話を聞いて感想を書く課題で苦労した。

いつだって最後まで残って紙の半分くらいまでしか書けず提出していた。

自分が何が書きたいのか分からない。

それ以前にビデオを見たって他人の有難い話を聞いたって感想などない。

 

「話を聞いてとても勉強になった。〇〇(話の抜粋)が大切な事だと思った。この話で学んだ事をこれから活かして行きたい。」

 

こんなありきたりな文章をテンプレにして書いていた。

どうせ先生はこんなもの見ないだろうと思って。

 

予想通りいつだってみんなと同じように丸だけついて帰ってくる。

 

感想文書くのは苦労したが

別に困っていたわけではないので何の努力もしなかった。

 

あれから10年以上経った。

僕は今でも人に自分を伝えるのが苦手だ。

他人に言われたことに「あはは…」と作り笑いしながら言葉だけの同意をしている。

 

僕は誰だ。

僕はどこにいる。